これまで合格した区分の印象とかについて。少し修正をかけました。
初めに
あくまで現役受験者が感じたことを書いておきたいので、合格したもののみ書いていきます。
独断と偏見行った評価です。相対比較となるので過去に受験したものも適宜アップデート予定です。
これまでの試験経験や現場経験によっても変わってくると思うので、「確かに自分もそう思う」とか「自分とは評価が違うな」とか「ふーんそんな感じなんだ」ぐらいに軽く見ていただければ思っています。
自身にとっての難易度は実際に体感した方が早いし正確だと思います。
ちなみに私は実業務ではアプリ系のエンジニアです。
評価指標は以下の通りです。
知識量:新たに追加する必要があった知識量。
専門性:その試験特有な要素の多さ。
時間制限:試験における制限時間の厳しさ。
読解力:読解力の必要性。
試験の印象と難易度
基本情報技術者試験
IT技術者の登竜門
難易度:他の試験の基準にするため全ての項目を1にしてある。
知識量:合格を確実にするためにはだいたいの人にとっては多少の知識補充は必要になるだろう。しかし数年の実務経験があればその量は少なくなる印象。
専門性:浅く広くで今から振り返るとやはり深くはない。
時間制限:午前にはかなり時間の余裕がある。唯一途中退室した。午後も時間で苦しむ試験ではないと思っている。
読解力:午後についてもどちらかというとロジカルに読み進められば問題なかった印象。
【その他一言二言】
正直受けたときの記憶はあいまい。
応用情報技術者試験
幅広い知識が問われる
難易度:アルゴリズムやプログラミング系の問題を避けることができるため基本情報より簡単という話をきくこともある。私は応用情報の方が勉強時間は多く、そして難しいと思っている。
知識量:午前の範囲が広くゼロからやろうとすると結構な知識を追加しなければならない。ある程度の実務経験があれば多少は楽になるはず。
専門性:基本に比べると深いところまで求められるが、専門性を求められる試験ではない。
時間制限:午前は問題数が多いもののそれでも余裕はあった。午後は時間にシビアとまでは言わないが、あまりゆっくりはしていられない印象。
読解力:私が選択した区分ではそこまで必要なかった気がする。
【その他一言二言】
午後の分野は基本的には高度区分ごとに分かれているため、高度区分を見据えた対策ができればグッと楽になるだろう。
午後で私が選択したのは情報セキュリティ、プログラミング、システムアーキテクチャ、ネットワーク、データベース。
午前は時間をかけて準備すると知識レベルの維持がつらくなりそうなので、ある程度期間を絞って勉強したい。
ネットワークスペシャリスト試験
アプリ系エンジニアにとっての最大の難関
難易度:私にとっては最難関の試験であった(ヘタしたら落ちたPM試験を含めても)。初めての高度区分だったため余計そう感じるのかもしれない。
知識量:ネットワークの基礎知識が必要。ない場合は単純な過去問演習だけではなく基礎勉強は避けられないと思った方がよい。まともにやるとその量が多い。
専門性:専門家からすればそこまでではないかもしれない。しかし、どの区分の専門家でもない私としては基礎知識や理論の理解が必須であるこの試験の専門性は特に高いと感じた。
時間制限:分からない問題で悩みすぎると時間は切れる。特に午後Ⅰは余裕がなかった。順調に進められれば時間切れにはならなかったため、個人的には時間はあまり気にしすぎず知識面や解答ロジックを理解して確実に得点力を伸ばす方が優先と考える。
読解力:高度区分なので特に午後Ⅱは長文でしっかりと問題文を追う必要はあるが、文章的なひねりはほぼなかった印象。事実に基づき答えるべき。
【その他一言二言】
応用情報からすぐ、専門知識も持たずに、純粋な勉強のみでよく受かったものだと自分では思っている。
とにかく基礎理論を大切する、最新あるいは応用的な技術は過去問にでてきていないものまで無理して追う必要はない。
午後は知識と考え方の両面から問われるためバランスのよい対策が必要。全体的に筆記試験としてのクオリティが高く、解いていて一番面白かった。
データベーススペシャリスト試験
スピード感を身に着ける必要がある
難易度:知識よりも本人の情報処理能力が問われる試験と思っている。とにかく時間が厳しくそこが体感難易度を上げる。ただ、筆記試験なので対策は可能。
知識量:SQLは複雑なものはでなかった(SQLだけならOracle master bronzeの方が難しい)。記述問題もデッドロック、正規化、インデックスなどの決まったパターンが頻出傾向にある印象で追加した知識はそこまで多くない。
専門性:ER図系の問題は試験的な対策で対応可能。問題に対する対応などもどちらかというと「定番」な感じのものが多く。現場の専門家レベルの知識は必要ない。
時間制限:ここが一番の問題。特につまらずに解けたつもりでも時間切れを経験することがあるかもしれない。私の場合は午後Ⅰはいつも時間ギリギリだった。人によっては午後Ⅱも時間足りないという。この辺は試験テクニックの方を重視して身に着けた方が合格率は上がると思う。
読解力:午後Ⅱは長文で読み通すのは大変だが、読解力というよりは情報整理という印象。
【その他一言二言】
能力が足りない状態から合格を狙うには試験テクニックを重視する必要があるため、個人的には試験勉強がつまらなくなる傾向があり、人によってはハマるとなかなか合格できない試験になるのかもしれない。
合格ラインはあくまで6割であるため、切る問題を決めるのも一つなのだが、この試験は前半の設問で切ると後半が総崩れする可能性もありそこがなかなか難しい。
とにもかくにも時間的な制約をクリアできれば合格が見えてくると思っている。
情報処理安全確保支援士試験
総合的な視点でセキュリティを考える
難易度:難問と言われる問題は少なかった印象。旧セキスペ時代と比べると近年は易化傾向にある?
知識量:目新しい知識はそこまで加えなかった、応用情報とネスペの知識でほぼカバーできる。午後のピンポイントな知識を問う穴埋めはある程度落とすつもりでいた。ただネットワークの知識がないと不利になるためそこをゼロから身に着けようとすると知識量は増える。
専門性:セキュリティの知識自体は応用情報の参考書に載っているレベルがしっかりと分かっていれば十分かもしれない。ネットワークやセキュアプログラミングの言語知識を絡めた問題は少し専門性が高く感じる。
時間制限:高度区分の中では余裕があった。
読解力:知識だけではなく本文中の「誰が何した」や「プロセス」にも十分に着目する必要があり、知識だけで解答しようとすると軸がずれた解答をしがちになる。
【その他一言二言】
ネスペのセキュリティ問題とSCのネットワーク問題を比較すると、必要な知識の深さの分SCの方が簡単になる傾向があり、ネスペに受かっていれば各段に楽になる。
また、読解力の部分を逆に言うとITリテラシーがあれば知識がなくても解答できる設問も結構多い。この辺はある意味、セキュリティでは人やプロセスを重視するという実践的、現場的な考え方と言えるのかもしれない。
システムアーキテクト試験
難易度:論文試験に対する感覚によって体感難易度は変わるだろう。
知識量:これまでの経験あってのものだが、追加した知識はほぼなかった。午前Ⅱだけは少し追加が必要になった。
専門性:何かの技術要素に特化しているわけではないため、専門性は高くない。
時間制限:DB試験と似たような問題形式のものもあり、全てではないが時間的にはやや厳しい問題も存在する。
読解力:午後Ⅰで言えば、セキスペと似たような感覚。知識に頼らず問題文から読み取るケースがやや多い。
【その他一言二言】
午後Ⅱに論文試験が存在するが、他の論文が必要な区分と比較するとやりやすいといわれることが多い。
午後Ⅰでは筆記試験の解き方、午後Ⅱでは業務経験と論文の書き方など、技術的な専門知識はあまり多く必要にならない印象。そのため、他の高度区分の受験経験があると筆記試験や論文の書き方という面から取り組みやすくなると思われる。
プロジェクトマネージャ試験
知名度抜群の硬派なマネジメント試験
難易度:一度不合格になっているので5にしようと思ったが、いまだに評価に迷うところがある。
知識量:定石はいくつか覚える必要があるが、必須知識は多くない印象。
専門性:専門知識は多くないが、必ずマネージャの立場で回答を行う必要がある。
時間制限:午後Ⅱは余裕があるわけではないが、PM試験特有のとこではないので少し下げてこの評価。
読解力:午後Ⅰは知識より読解力勝負だと思っている。他の試験よりその特徴が顕著。
【その他一言二言】
他の明確な技術系の試験と違って、現在マネジメントを行う立場にない場合には受験するのを躊躇するかもしれない。
しかし、私としてはそのような立場にいる人にこそ受験をお薦めしたい。マネジメントやプロジェクトの在り方について真剣に考えるよい機会となる。
試験に関してはPMの立場を意識して回答するようにしていきたい。試験中だけではなく実業務中にもPM目線で考えることなどがそのまま試験対策にもなるだろう。
受験者層のレベルは高いと言われており、論文試験でいかに一歩抜け出せるかが鍵となってくる。PMを経験した人がない人にこそ薦めはしたがそのような場合には入念の対策が必要になるだろう。
ITサービスマネージャ試験
サービス運用のための幅広い知識が必要とされる
難易度:感覚的には論文形式試験で言えば、システムアーキテクト試験と同程度という感触。
知識量:試験に出題される内容自体は幅広いが、問題の切り捨てなどもできるので合格最低限ならそこまで多くはない。
専門性:午後Ⅰはまだしも午後Ⅱについてはサービス運用やインフラの知識がない場合には問題の切り捨てが発生すると思われる。
時間制限:他の試験と比較したときに時間的な特徴はないと感じた。
読解力:午後Ⅰは専門知識があると有利だが、やはり読解力勝負になるのである程度は必要。
【その他一言二言】
ITサービスマネージャの知識はそこまで深くなくても全く問題に対応できないということはないと思われる。
また、開発系アプリケーションエンジニア視点で見たときにインフラの知識がないと午後問題は解きにくく感じるかもしれない。ただ範囲が広く単なる知識というより経験があると分かりやすいという感じなので勉強によって対策するのは結構苦労するかもしれない。
ITILに関しては午前で必要になる知識以外はそこまで必要なく、ITILで定義される各管理の定義については概ね把握しておくと安定して回答できる問題が増えるかもしれない。
システム監査技術者試験
幅広い領域の理解が必要なIPA試験の総合格闘技
難易度:難易度の評価が難しい。
知識量:最低限のシステム監査知識は必要だが、合格だけならそこまでは多くはない。
専門性:多くの場合はシステム開発や運用ベースの問題になっている。
時間制限:他の試験と比較したときに時間的な特徴はないと感じた。
読解力:PM試験やSM試験に近い印象。
【その他一言二言】
一見するとシステム監査という多くの受験者があまり関わらないと思われる受験区分となるが、実際の問題はシステム開発や運用など、PM試験やSM試験の問題をシステム監査という要素で包んだ試験という印象を受けた。逆に言えば監査知識だけではなく開発運用の基本が分かっていないとかなり不利になる。
実際のところ試験自体の難易度も高いと思われるが、PM試験やSM試験を経ての受験とすると最低限のシステム監査知識をプラスすれば最低限必要なものは揃うと思われる。但し周りの受験者も同じような状況の人が多い中、一定の合格者しか出さないことを考えると決して簡単ではない。
論文試験一発目にAU試験を受けるとなるとシステム開発や運用の常識、定石を身に着けていない場合にはその辺も必要になるため相対的な難易度は大きく上がるかもしれない。
ITストラテジスト試験
難易度:今まで経営や戦略について考えたことがないと難しい。
知識量:戦略フレームワークなどに関する知識は問題を解く上ではそこまで必要ない。
専門性:他の試験区分と比べると視点はかなり変わる。
時間制限:個人的には時間がなかったが、特徴的な時間制限はない。
読解力:午後Ⅰは相変わらずといった感じ。
【その他一言二言】
経営や戦略に関してこれまであまり考えたことがないと難易度は上がる。他の論文試験とは視点がかなり変わってくるため他の区分を複数合格していても油断ならない。そのような観点から難易度の評価は上げた。
専門知識については論文試験でもあまり記述を求められる感じではないが、設問アに該当する経営戦略に関する記述部分は準備必須。
IPA試験の最高峰と言われるAU試験とST試験を比較した場合、論文試験の一発目に受けるならAU試験よりST試験の方がある意味取り組みやすいかもしれない。逆にAU試験の方はこれまで他の論文試験をクリアしてきた場合は最小限の対策でも案外あっさり合格できる可能性があるというのが個人的な印象。