SEワンタンの独学備忘録

IT関連の独学した内容や資格試験に対する取り組みの備忘録

【システムアーキテクト試験】対策振り返り 2019年合格 


2019年のシステムアーキテクト試験(以下、SA試験)にて合格となりましたので、実際に行った対策や過去問や本番試験の中で感じた試験の特徴などについてまとめておきたいと思います。

前提としては、私は過去にスペシャリスト系の試験をいくつか合格してますが、論文試験の経験は不合格だったPM試験のみ。
SA試験については今回が初めての挑戦でした。

試験の結果などについては以下の記事です。

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試験の特徴と行った対策方法

対策方法と言ってもだいたいは過去問解きましたって感じにはなりますが

午前Ⅱ

 
【対策方法】

定跡どおり、過去問を周回した。
その中で、主に以下のサイトを利用させていただいた。
情報処理技術者試験の勉強をやり直し −ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者、応用情報技術者、情報処理安全確保支援士・高度試験の過去問題の解説−

但し、解いた際に間違えた問題が記録に残らないため、そこは自身でスクショをとって記録しなかなか覚えられない部分は記事にしてまとめてみた。

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【試験の特徴】

過去の記事で何度も触れているが、特に新し目の開発手法に普段から関わっていない人にとっては、全く知らない用語が多い傾向にあると思う。
本番試験で過去問にない、全く知らない用語が登場するというケースが起こることも予想されるが、それでも対策を行っておけばほぼ合格安定ラインに到達することは難しくないと考える。

やはり、合格するつもりで受けるならここで合格率は下げるべきではない。
午前はいつでも正確な採点が自分でできるが、午後は正式な採点結果を知れる機会が本番試験しかないことを考えると、もし午後で受かるか分からないとしても午前で落ちるのは非常にもったいない。

午後Ⅰ

【試験の特徴】

私個人としては、情報処理技術者試験を受験するようになってから午後I(午後Ⅱ含む記述式試験)では落ちたことがないので、正直得意意識があり対策等も自分なりには立てやすい。

スペシャリスト区分等の受験経験があればそれが活きる部分でもある。
独自の感覚かもしれないが、データベーススペシャリスト試験(以下、DB試験)とPM試験の中間にあるような問題構成。

試験の難易度的には技術的な専門性が高いわけではないので、ある程度の知識があれば何度か解いたうちのどれかが合格レベルになるということは決して難しいわけではないと思う。
但し、DB試験と似た傾向があり時間的な制約がやや強く、またPM試験に近い側面として技術的な知識で解答を一意に特定できないケースも多々あるので、点数を安定させるのは簡単ではない

点数を安定させるためには、技術知識や現場経験だけではなく、筆記試験としての解き方を身に着ける必要があると考えている。

【対策方法】

行った対策の内容としては原則通り過去問の演習になる。

やや特殊な対策として、私は午後Ⅰの演習内容でブログ記事を作成したりもした。
問題文を深く読み込み、設問や解答例の意図を読み取る練習にはなったが、合格を目指す上では明確に不要

応用情報合格レベルの基礎知識を前提とすれば、午後Ⅰのために技術的な専門知識を取得する必要はほぼないと思われる

午後Ⅰの勉強中には以下のような観点を意識しながら過去問演習をするとよいのではないかと思う。

■業務知識

例えば、私は会計系の問題が苦手だ。

やはり過去記事でもなんどか触れているが、問題の性質としてDB試験に近い面があり業務を軸とした問題が目立つ
この点から、問題の切り捨てを題材となっている業務で行ったり、解きにくいと感じた問題の業務知識を拡充するということが一つの戦略になりうると思う。

また、業務知識とは違うが今回の問題では「サービスデザイン思考」に関する問題が出題された。
サービスデザイン思考」に関する知識が問われた問題ではなかったが、今後はこのような開発手法を軸とした問題が出題されてくる可能性もある。


■試験の解き方

他の高度区分の受験経験があれば、そのときの経験を思い出しながら問題の性質に合わせて解き方を徐々にチューニングしていくのが良いと感じた。

ポイントとしては、本文の抜き出しで解答してよいのか、知識から作成するのか。設問を解く際に問題文を読み進めながら解いた方がよいのか、問題文を先に軽く全て目を通してから解いた方がよいのかという点である。
SA試験はこの辺の解き方がかなり複合して出題されている印象がある。

必ずしも必要なわけではないが、この辺の使い分けを自分なりに意識できれば安定感は増すと思っている。
例えば、今回の本番試験の午後Ⅰでは、問1は問題文を読み進めながら設問に解答し、問2ではある程度先に問題文に目を通してから解答を作成したという感じである。

また、時間的に少し厳しい問題があり、時間を意識するために演習時に時間を区切るのはもちろんだが、たびたび時間がオーバーするようなら情報処理試験特有の情報整理方法や問題文の読み方に苦戦している可能性がある。
これは業務経験や知識取得で補うのが難しいところでもあるので、演習を繰り返して自分なりの方法をまとめあげるか、書籍や研修、有識者から方法を学ぶのがよいと思われる。

午後Ⅱ

【対策方法】

ご存じの通り、システムアーキテクト試験の午後Ⅱは論文形式の試験である。
2時間で2000字オーバーの文字数を記述する必要がある。まずは試験時間内にこれだけの文字数を書き切れるようになる必要がある。
個人的には、全く書いたことがないならばとりあえず一回手書きで書いてみて絶望なり楽観なりした方がよいと思う。

私の場合は、すでにPM試験の受験経験があったため、初めてSA試験の過去問を解いた時点で内容はともかくとして時間以内に規定文字数以上の文章を作成することができた。
そのため、SA試験に向けた対策に集中して取り組むことができた。

試験中の基本的な戦略としては開始15分ぐらいで問題選択と論文の格子を作成し、残りの時間を使用して具体的な内容を記述していくということでよいだろう。

実際に行った対策としては以下の通りである。恐らく割と一般的な対策ではないかと思う。

■過去問から格子作成の練習
PM試験では論文試験への対策がやや不足したということもあり、論文試験対策として先行的に過去問から格子の作成練習を行った。
実際に論文を作成すると長時間が必要になるため、早めに論文作成に必要となる知識領域を探る意味合いである。

論文の対策としては、実際の記述よりもこちらの格子作成の方が重要と言う人もいる。
これによって、論文を書くのに必要な経験や知識が不足している部分を洗い出し(所謂ネタ不足)、ネタ集めを行った。

■ネタ集め

やはり一番いいのは現場での経験。恐らく言葉にできればそれだけでリアリティが生まれる。
なのでまずこの辺の棚卸から行った。
環境が悪いとか特定の技術しか使っていないとかはあまり関係ないと思う。
現場に問題が多いならむしろネタにしやすいし、現実で解決できるかは別として、そこから正攻法を行った場合の成功事例を思い描けばそれでストーリーには十分になる。

もし、システムアーキテクトに準ずる立場になくても問題はない。私もそう。むしろシステムアーキテクトとして考えるべきことを視座を上げ現場で考えみるきっかけになるならばそれだけでも試験を受ける意味があったのではないかと思う。
※きれいごとではあり、もちろん受けるからには合格がほしいが・・

個人的にはほしい情報は、どんな側面から問われても答えることのできる状況であるため、以下のような点で不明確なところがあるならとりあえず明確にしてみる。
・システム構成や特徴、関連システム
・利害関係者、人間関係
・業務内容、システム化の目的や期待効果
・人、物、金に関わる管理方法
・上記についての問題や課題

実際に行った解決策や結果があればさらによいが、キレイな解決策はネットや書籍などから比較的拾いやすいため、こちらは試験対策の中で考えればよいと思う。
問題や課題については他の要素がしっかり分かっていれば他から借りてきても、それが起きたときというのは比較的想像しやすいのではないかと思う。

状況自体を午後Ⅰの問題文から拾うというのも結構一般的な対策方法として挙げられているようだが、私の場合はあまり合わなかった。いろいろな側面から問われた場合にどうも話を膨らませることができず、筆は進まず時間的にも文字数的にもきつい。
これは人によるだろうから試してみる価値はあるだろう。

解決策やシステムアーキテクトとしてあるべき考え方を拾ったのは主に書籍。
今回は後述する設計に関する本や参考書の論文例を参考にすることが多かった。

主軸とするストーリーは三本くらいほしいと言われているのを見たことがあるが(もしかしたらPM試験のときかもしれない)、私の場合は主軸とするストーリーは一本。一つのプロジェクト、一つの顧客、一つの業務、一つのシステムでどんなテーマでもごり押しした。
さきほども述べた状況がしっかり分かっているなら意外となんとかなる。

■論文記述練習

論文の記述練習は、制限時間2時間で実際に全文を書いた。
私の場合は組み込み系を除いた平成30年~22年ぐらいまでの過去問を一回ずつ。手書きとPCの割合は手書きが3割弱ぐらいだったと思う。他の人の平均と比較すると手書きの割合がやや多いかもしれない。

練習方法については特に特別なことはない、普通に解いて時間があれば後からできる限り客観的に見直しを行い軽く自己添削を行った。

解答レベルとしては以下のような感じで意識移していけばいいのではないかと思う。

Ⅰ.時間内に必要な量を書き切る
Ⅱ.設問に確実に答える
Ⅲ.システムアーキテクトとしての適切な主張や対応策を織り込む
Ⅳ.論文記述のテクニックを織り込む
Ⅴ.文章表現に拘る

書籍やネットなどを見ている感じだと、までが確実にできればとりあえず勝負になるようである。
準備としては最低限は目指すべきであろう。は基本的には独自では難しいと思っているので書籍に頼った。
はとりあえず書いたが必要なのかは分からない。

【試験の特徴】

試験的な特徴は、PM試験との比較になるが以下のような印象を受けた。

・経験のあるテーマならば、比較的書きやすい
・経験のないテーマは逆にPM試験より書きにくく、ほんとに筆が動かない
・人に焦点が当たる場合もあるが、システムに焦点が当たる場合が多い
・システムの内部にまで詳細に目を向ける必要がある場合も出てくる
・システム開発における工程や分野の範囲は広い(但し設計関連が多い印象)
・作業はわりと自分でやってもいい

論文試験は受験経験が2回、合格経験が1回とまだ経験が浅い部分があるので今後もアップデートしていく予定。

【おまけ】
PM試験受験時とSA試験受験時の違いではブログを開始したことがある。論文試験のためだけに、ブログを開始することはお勧めできないし、実際にどの程度効果があったのかも不明確である。
しかし、この記事だけでも7000字は超えているし、アウトプット力や文章作成力の向上には一定の効果はあるのかもしれない。

読みにくいし文章のレベル大したことなくね?と思ったらそのぐらいでも受かるんだと思ってもらえればよいかと

参考書籍

情報処理教科書 システムアーキテクト 2019年版

私としては定番のものであったが、システムアーキテクト試験のものについてはやや私には合わなかった。
午後Ⅰの解説がわりとおおざっぱであり、午後Ⅱに解答作成プロセスの解説が私には合わなかった。
PM試験の時が頼りになり過ぎたせいもあったと思う。

システムアーキテクト 合格論文の書き方・事例集 第5版 (情報処理技術者試験対策書)

主に合格論文の内容を多く知る目的で購入。
実際に載っている合格論文は十分に参考になった。また、序章に書かれている論文の書き方や考え方についてもそのまま取り入れるかは別として結構参考になりその点は思っていたよりも良かった。
PM試験対策用にも買うかもしれない。

システム設計のセオリー --ユーザー要求を正しく実装へつなぐ

主に設計の考え方としてのネタ集めのために購入。
この本があるから合格できたというのものではないが、書いてある内容は現場的にも十分参考になる。
本書についての記事を一つ作成した。

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