SEワンタンの独学備忘録

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【プロジェクトマネージャ試験】ここで押さえるEVM法 試験対策

プロジェクトマネージ試験(以下、PM試験)の基本とされる知識について復習がてら改めてまとめます。
今回はEVMについて。

EVM法

EVM(アーンド・バリュー・マネジメント)法とは

予算および予定の観点からプロジェクトがどのように遂行されつつあるかを定量的に評価し、コスト効率と進捗率を一度に把握するためのプロジェクト管理の技法である。

引用元:アーンド・バリュー・マネジメント - Wikipedia

タスクがある程度分割されていることを前提としているため、WBSと組み合わせて活用することが多い。
PM試験的にはコスト管理の手法としては頻出。
コストの本格的なマネジメント経験がない場合には、午後Ⅱはコスト管理に関してはこれ一本でも乗り切れるはずなので、午後Ⅱで語れるレベルには押さえておいた方がよいと思われる。

※私は現場で実際に使用した経験はありません。

EVMの基本 3つの要素

EVMは以下の3つの要素から考える。
知っていて当然、ここを知らないと予想もきかない。

単位は全て工数(人日)など分かりやすいもので考えればよい。単価乗算すればコストもでる。

PV(計画価値)

その名の通り計画時の予算(工数)。
Planned Valueで単語的にも覚えやすい。

AC(実コスト)

実際にかかったコスト(工数)。
Actual Cost。Valueではない。

EV(達成価値)

計画に対して達成した価値(工数)。
かけた工数ではない、平たく言えばいくら分の仕事をしたか。
Earned Valueで見ての通り手法の名前の由来。

以下は例のために用意した図なので、現実的にはさすがにここまで極端にはならないでしょう。

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コスト、スケジュール管理の基本指標

確実に対応できなければいけない基本指標。
丸暗記でもいいが、基本要素の意味をしっかりと理解していればその場でも導出できるレベル。

基本的にはEV起点で考えればよい。

SV(スケジュール差異)

SV = EV - PV
ある時点において、そこまでに達成した価値(EV)から計画していた価値(PV)を減算することで計画からどの程度遅れているかが算出できる。
値がマイナスのとき遅延が発生している。

CV(コスト差異)

CV = EV - AC
ある時点において、そこまでに達成した価値(EV)から実際にかけた工数(AC)を減算することで、どの程度コストが超過しているかが算出できる。
値がマイナスのときコスト超過が発生している。

SPI(スケジュール効率指標)

SPI = EV / PV
ある時点において、そこまでに達成した価値(EV)を計画していた価値(PV)で除算することで計画からどの程度遅れているかが算出できる。
値が1未満のとき遅延が発生している。

CPI(スケジュール効率指標)

CPI = EV / AC
ある時点において、そこまでに達成した価値(EV)を実際にかけた工数(AC)で除算することで計画からどの程度コストが超過しているかが算出できる。
値が1未満のときコスト超過が発生している。

とりあえずSPIとCPIだけ先ほどの例から算出してみます。

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線でみると違う分析結果になると思いますが、データが現実的ではないので「点」で読み取ると以下のような感じになると思います。

一週目:コストもスケジュールも計画に満たないため、計画を見直す必要がありそうです。
二週目:スケジュールは先行していますが、計画以上に工数を使っているため生産性を上げる必要がありそうです。
三周目:計画に対してかなり順調に進んでいる状態です。逆に言えばかなりあまい計画の可能性もあります。
四週目:効率よく作業は進められていますが、スケジュールに満たない状態なので、工数は確保する必要がありそうです。

試験的には

内容自体は機械的にまとめましたがここは私見です。

・午前Ⅱ
導出方法と各値は小さいときに悪化しているぐらいの理解でなんとかなると思います。

・午後Ⅰ
がっつり題材になっているときはここまでの知識だけでは不十分です。
後述の指標まで理解しきれていない場合はパスするのが無難だと思います。

・午後Ⅱ
個人的には特に押さえておくべきはCPIだと思っています。

理由の一点目は午後Ⅱで記述する必要性が高くなるのはコスト管理が絡んできたときになるから。
もう一点はまともなコスト管理の経験がない場合、監視して対策を打つ基準を設けるときに具体的な数値よりも比率の方が一般化しやすく定跡値などを参考にしやすいからです。

但し感覚的にも分かる通り、全体5人日のCPI=0.9と全体200人月のCPI=0.9では深刻さが変わってくるのである程度注意が必要なのかもしれません。

プロジェクトの予測指標

私はここからがあやふやなところがありました。
軽く流す程度だとあやふやなところが残りがちになる気がしますが、PM試験を受けるような人なら一度しっかりやれば覚えきれるでしょう。

BAC(完成時総予算)

Budget At Completion
※Budget=予算
※Completion=完成

文字通り、完成時の予算のことなのでPVの全体合計値となります。
基本的には計画を見直さない限りプロジェクトを通して、普遍、一定です。

あえて数式で表すなら以下のような感じでしょうか。

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EAC(完成時総コスト見積り)

Estimate At Completion
※Estimate =見積り

プロジェクト遂行中において、その時点の全作業や生産性から完成時の総コストを予測する。
予測値なので、開始時はEAC=BACとなるがプロジェクトの遂行に伴って変動する。

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基本要素以外も導出式に入ってくるため一見すると複雑にも見える。
しかし、本質的に分かっていれば十分に理解できる。

完成時の総予算なので、前半部分で現時点までにかけたコスト(AC)を表す。
後半部分で残作業のコストを表します。

残作業量についてはBAC-EVで算出することができ、作業効率はこれまでの効率で進めた場合を想定するため分母にCPIがくる。

コスト面においてはEVMの真骨頂とも言える(と思っている)。

プロジェクトの遂行中において、完成時のコスト予測ができるためこのまま進めていった場合にコストが許容範囲に収まるのか、対策を打つ必要があるのかの判断に用いることができる。

現実的にどの程度の精度があるかはひとまず置いておいて、
論文でEVMを使用するときには記述の必要性が高い要素だと思っている。

最低限、何を表しているか、どのような使い方をするのかを他よりも優先的に押さえておいた方がよい。

VAC (完了時差異)

Variance At Completion
※Variance =分散

完了時の差異を表すため、以下の式で導出できる。

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現時点の見積りから総予算を減算するため、プラスで予算オーバーとなる。
重要度はあまり高くないと感じるが正確には不明。

TCPI(残作業効率指数)

To-Complete-Performance-Index

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BACを達成するために必要な残作業の作業効率を表し、計画通りに進んでいる場合は1となる。
作業の効率を表すため、分子で残作業量を、分母で残コストをとる。