過去問演習振り返りタイムアタック。
平成26年午後Ⅰ問2
物流センタのシステム構築に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。
今回の読み進め方
制限時間は40分とした。
最初に設問の確認。問題数がそこまでではない。穴埋め形式が多いので、設問で問われている問題文の箇所が把握しやすい。
本文もあまり長くない。
【現在の受注・出荷業務及びシステム化状況】
問題文も長くなかったため今回は初回からこの部分も少し深めに読み込み。
重要と思われる部分をチェック。連絡手段やサーバ、データ帳票回りなど。
また一読で分からない部分には深く考えず「?」を表記する。理解が足りなくて一目で分からない場合はそこが設問で問われる可能性もある。
※結果的にはちゃんと読んでもあまり意味のないパターンだった。
【物流センタ新設後の業務概要】
設問で問われている箇所が明確に存在するため、できる限り理解しながら読み進める。
ここからやはり設問を進めながら読む。
【棚出し関連及び出荷関連処理記述書】
先読みとかはせずに設問で必要になったら読んだ。
設問1
物流センタの在庫について、(1)、(2)に答えよ。
(1)
受注登録時の在庫引当てにおいて、引当対象となる引当可能在庫の算出式の[a]~[c]に入る適切な字句を答えよ。
a | b | c | |
---|---|---|---|
私の解答 | 実在庫 | 引当済在庫 | 入荷予定在庫 |
IPAの正答 | 実在庫 | 引当済在庫 | 入荷予定在庫 |
穴埋め問題、単語の意味がある程度分かれば減点なく確実にこたえられる問題。間違えることなく確実に正答すべき。
引当可能在庫を算出する式かつ、【物流センタ新設後の業務概要】の(1)③に○○在庫という単語が4つ並んでいることからこの辺の単語を使用して解答を作成するものと予想がつく。
引当は出荷予定数の予約のようなものなので、「実在庫-引当済在庫」が他に回してもよい、引当可能な在庫になることが分かる。これで[a]と[b]。
[c]の解答で一瞬戸惑う、普通に考えると「入荷予定在庫-引当済入荷予定在庫」が妥当と考えるが、これと同じことを表すためには[c]に「入荷予定在庫」を入れるしかない。
順番逆でも成り立つのでは??とも思うが実在庫をベースに考えるのが妥当だし、あまり深く考える意味もない。
(2)
物流センタへの入荷時に、在庫マスタの実在庫の加算処理と入荷予定在庫の減算処理を行う。他に二つの在庫情報が更新される可能性がある。その二つについて、なんの在庫情報が、どのように更新されるか。それぞれ20字以内で述べよ。
私の解答 | 引当済実在庫が加算処理される |
---|---|
IPAの正答 | 引当済実在庫が加算処理される |
私の解答 | 引当済入荷予定在庫が減算処理される |
IPAの正答 | 引当済入荷予定在庫が減算処理される |
この問題も簡単だと感じた。
設問で問われている状況は入荷時、なので在庫が増え、入力予定のものが入荷されたため入荷予定在庫が減る。この状況を設問内で表現してくれているので解答記述方法に迷う余地がなく難易度が下がっている。
設問中で「可能性がある」と表現しているのは、受注数が実在庫を超えた場合、入荷予定在庫を引当てるこの状況のことだろう。すると引当済みの入荷予定在庫が入庫されればその分だけ実在庫から引当てていることになり、引当済入荷予定在庫は減り、引当済時実在庫は増える。
ここまで把握できていれば、あとは設問の表記方法に合わせることで、難なくIPA正答と全く同じ解答が作成できる。
設問2
表1の棚出し関連の処理記述書について(1)、(2)に答えよ。
(1)
表1中の[d]に入れる適切な字句を、25字以内で述べよ。
私の解答 | 棚出指示票に基づいて棚出しする商品 |
---|---|
IPAの正答 | 棚番別在庫ファイルの出荷対象商品の棚番 |
この問題だけ難易度が高かったと思う。(自分が間違えたのでそう思うのは当然なのだが)
まず、設問で問われている表1をみる。「ファイル」というのは「テーブル」と同じ感覚で扱ってOK(一般的なの?)。問題となっているのは以下の箇所。
(2)日付を指定して出荷予定ファイルから翌日出荷予定レコードを抽出する。
(3)[d]を特定する。
(4)棚番別在庫ファイルの棚出指示済在庫を更新する。
表1の形式的に前後の処理を確認し、足りていない処理を書き足す、というのが妥当な解答方法だろう。
表1だけでは解答できないので、図2や本文の(4)棚出しと見比べて考える。しかし、抜けている処理というのが明確に分からない。そこで私は棚出しする商品が特定されていないと考え、本文中の言葉を使いながら解答を作成した。
方向性は悪くなかったがIPAの正答から考えるに棚出しの管理単位は商品ではなくあくまで棚であり、私の重大な見落としとして「図1」を全くみていなかったことがある。
商品の取り出しを管理する棚番別在庫ファイルの構造が明記されており、棚番が主キーだよと主張している。ここまでわかってくると確かに本文のどこかで、商品は1つ以上の棚に入荷されるみたいなことを言っていたなと思い出す。そうすると商品を特定してもどの棚から取り出すかは分からないので私の解答が不正解でも納得はいく。
次の処理で使用する棚番別在庫ファイルを一意に決める棚番で特定することを処理、システムチックに書くと正答のようになる。
しかし、「○○を特定する。」という書き方が表1に他に出てきていないこともあり表記揺れが起きる可能性もあり、やはりこの問の中では難易度が高いと考える。
個人的には納得はいくものの解答中には落としてもしかたない部類の設問。
(2)
表1中の[e]に入れる適切な処理内容を、35字以内で述べよ。
私の解答 | 棚番別在庫ファイルの実在庫を減算更新、棚出指示済在庫を加算更新する。 |
---|---|
IPAの正答 | 棚番別在庫ファイルの実在庫及び、棚出指示済在庫を更新する。 |
(1)に比べて難易度はガクッと下がる。
表1中の[e]部分の(3)の棚出実績が入力されたらから本文中の棚出実績を探す。すると、(4)棚出し②で見つかる。棚出実績が入力後、「棚番別在庫ファイルの実在庫及び、棚出指示済在庫を更新する。」が見つかり、表1と見比べると当該の記述の処理が書かれていないことからここが解答の肝になると決め打ってよい。
あとは解答の書き方、表2の出荷処理機能の(3)②に更新の処理があり、工夫なく記述してよいと分かる。私は文字数に余裕があることから増減を表記したが、本文を素直に書けばドンピシャで正解となる。
増減の方向があっていればそこまで減点はないのでは?と思っているが、更新処理の書き方が表2中に明記されていることから無難ではない。
設問3
表2の出荷関連の処理記述書について(1)、(2)に答えよ。
(1)
表2中の[f]に入れる適切なファイル名を答えよ。
私の解答 | 出荷予定ファイル |
---|---|
IPAの正答 | 出荷予定ファイル |
図2を確認すると出荷処理に紐づくのは「出荷予定ファイル」「受注ファイル」「出荷実績ファイル」の3つここ以外からの解答は考えにくい。私はここで決定しきれず解答保留として(2)と並行して解いたが、表2中には「[f]に該当する出荷予定レコードの~」の一文から○○ファイル⇒○○レコードは容易に予想がつきそこで解答とするのが実践的だと思っている。
システムアーキテクト試験の特に午後Ⅰについては、知識よりも論理的思考力とそのスピードが問われる試験と思っており、合格に徹するならば本文を隅から隅まで理解する必要はまるでない。8割方正解と思える解答が思いつきその精度が十分に高いならあとはずばずばと答えていけばよい。
(2)
表2中の[g]に入れる処理内容を、30字以内で述べよ。
私の解答 | 受注ファイルの受注レコードの状態を消込済みにする。 |
---|---|
IPAの正答 | 受注ファイルの受注レコードの状態を出荷済みにする。 |
表2の(3)が出荷実績を入力した後の話なので、本文中から出荷実績の入力部分を探す、すると(5)②に「出荷実績を端末から入力し」の一文が見つかり、この後の処理を表2中の①~④で満たせばよい。「受注の消込み」「在庫マスタの実在庫、引当済実在庫を更新」そのあとの「出荷関連帳票を出力」の処理があり、更新⇒②、帳票⇒④が該当するため、③で「受注の消込み」を処理として記述すればよいと予測できる。
あとは「受注の消込み」をどう表現するかの問題となるが、まずここまで表2では、「受注の消込」と関連がありそうな受注ファイルが使用されていない点、表2の①に「~の該当する~」という③の記述に近い文章があることから今回の解答を導き出した。
また、○○ファイル⇒○○レコードの予測はここでも使用している。
IPAの正答と比較するとステータスの状態のみ違っているが、受注ファイルのステータスの持ち方は本文中に明記されていないため、減点はあっても微小ではないかと思っている。
設問4
物流センタ新設後は、営業所別の売上集計を行うとき、現状の売上データの集計で発生している、あるデータが発生しなくなっている。それはどのようなデータか。25字以内で述べよ。
私の解答 | 他営業所から出荷した場合の出荷手数料データ |
---|---|
IPAの正答 | 他営業所に振替計上する出荷手数料分のデータ |
私の場合は最初に【現在の受注・出荷業務及びシステム化状況】を深めに読み込んでたことがここでだけ少し役に立った。そうでなくても「現状の売上データ」と新設後の比較になるため、ここまでは戻ってこられなければならない。
具体的には(6)で現状では営業所間での在庫のやり取りが発生しその際に出荷手数料が発生するが、新設後は在庫は物流センタに集約されるためこのやり取りがなくなる。これを本文中の言葉を使いながら25字以内でまとめることができれば正解となる。
書くべきことは分かっても、25字以内でIPAが求めるようにまとめるのはセンスが必要だろう。
他の問題が比較的解答が揺れにくい問題が多いこともあり、減点をくらいやすいところかもしれないが私の解答でもいくらかの加点はもらえるだろうと思っている。
総評
あくまでも個人的なものである。
難易度 | 易しい |
---|---|
専門性 | 普通(業務的観点) |
時間制約 | 易しい |
合格判定 | 合格レベル |
集中力 | 高 |
午後Ⅱ演習で書いた論文をのっけてみたりもしたいんだけど、ベースは空想じゃなくて実際の仕事がらみのことにして書いてるからなかなか難しい。