泣きながら振り返り。
平成26年午後Ⅰ問3
勤務管理システムの導入に関する次の記述を読んで、設問1~3に答えよ。
今回の読み進め方
制限時間は40分。
難易度は高いと感じた。本番試験で当たったら午後Ⅱのできに影響がでるレベルでできがよくなかった。
この問題は視点の移動が多いのと抜き出しで答える問題が少なく、人によっては難しいと感じるのではないだろうか。
設問の確認。
設問の数は少なく見えるが、一問につき複数の解答が必要になる設問が多く、設問数的には普通。
【D社の就業条件】
勤務管理システムの就業条件ということで重要度は高いかと思い、少し深めに読んだ。
あまり効果はなかった。
【現在の勤務管理の概要】
読みの粒度に迷うが結局少し深めに読む。
部長の事務作業が多い。
【勤務管理に関する内部監査の指摘】
設問に直結する部分なので深く読む。設問に戻ろうかと思ったが、新システムに関する設問であることは把握済みなのでそのまま読み進める。
【新システムを用いた勤務管理の概要】
この辺りを読むと設問に解答できるが、設問に戻るタイミングが地味に難しい。
設問1
【勤務管理に関する内部監査の指摘】に対する新システムでの対応について、(1)、(2)に答えよ。
(1)
指摘1に対して、データ管理方法、部長の確認方法について改善するために、新システムで行った対応の内容を、それぞれ30字以内で述べよ。
データの管理方法 | |
---|---|
私の解答 | データ間の整合性が確認しやすいように1つのシステムで管理する |
IPAの正答 | 3種類のデータを全て新システムで一元管理する |
部長の確認方法 | |
私の解答 | 任意のタイミングのCSV出力で確認できるようにする |
IPAの正答 | 部長が確認すべきデータだけを警告一覧に出力する |
監査からの指摘についてデータの管理方法と部長の確認方法との2つの新システムでの対応方法について解答する問題。
データの管理方法
本文の指摘1と【現在の勤務管理の概要】から勤務管理表、プロジェクト別就業時間、残業届出書が別々の管理方法であるため、データの不一致が発生しているというのが現状の問題。
それに対して新システムでは①、②、③で新システム内でまとめ管理していることが分かる。解答の軸はここ。業務時間とプロジェクト時間を一致させる仕組みがあったりして若干気がそれたが集約することに着目して解答。
そこまで方向性はずれていないが正答はもっとシンプル。
3種のデータを一か所にということが表現されていればそこまで点数の落としようもないだろう。
部長の確認方法
結果として確認箇所がずれていた。この問題はダウンロードデータを使用した処理をある程度読み切る必要がある。
解答の勘所としてはまず、現行では部長の確認するべきものが多かったというところがどうなったかという点。
CSV機能に着目すると出力自体は便利にはなっているかもしれないが、結局全ての出力データに目を通していることになるので改善としては弱いのだろう。
見返してみるとポイントは、(2)警告一覧を出力する機能の「それを参考に、部員に確認したり、残業を削減するようにプロジェクトリーダに指導したりする。」の部分だろうか。
部長の確認はなんのためにするかというとまさにこの部分を行うために行っていたのだろう。なのでここの警告一覧の出力が解答の軸になる。
ここまでは察しがついても正答と同じようにさらっとまとめるのはなかなか難しい。
新システムでの対応を答える問題なので、「警告一覧に出力する」があれば、多少のブレは許されるのではないだろうか。
(2)
指摘2に対して、入力された開始時刻及び終了時刻が妥当かどうかを確認するために、新システムに盛り込んだ機能は何か。その内容を35字以内で述べよ。
私の解答 | 勤務実績の入力時に、入力退職の時刻が参照できる機能 |
---|---|
IPAの正答 | ICカードリーダ付きの入力端末で入力、退室の時刻を記録する機能 |
私の解答ではすぐにバツがつく。「開始時刻及び終了時刻が妥当かどうかを確認する」ための機能を問われているため、着目すべきは入力部分ではないからだ。
ICカードリーダにはわりとすぐに目につき解答に関連があると予測できるが、入退出時刻が記録されているからといって、それだけでは妥当性の保証にはならないと考えた。しかし、あまり考えずにこれをそのままかけたほうがマシだった。
正答のようになるのはもちろん理由があって、表2 容認される基準の②開始時刻、終了時刻の部分である。ここまで目を通せていないと正しいプロセスでは解答できない。
この部分で、入力された時刻と入退出時刻の乖離が30分以上だと警告を出す⇒部長が警告としてすぐに着目できる。だから妥当かどうかを確かめる機能になっている。
ここまでいくと納得できる。
SA試験は本文を後ろまである程度読み通してから解答するパターンが他と比較しても多いような気がする。PM試験とかではあまりなかった印象。このパターンで大きな解答ずれを起こしていることが多い気がするのでここは今後の過去問演習では少し考慮したい。
設問2
表2中の[a]~[f]に入れる適切な字句を答えよ。
a | b | c | |
---|---|---|---|
私の解答 | 空白 | 直帰 | 3ヶ月累計 |
IPAの正答 | 空白 | 直帰 | 当月までの3月ヶ月 |
d | e | f | |
私の解答 | プロジェクト別業務時間の入力 | 最終年月日 | 現在日付 |
IPAの正答 | 月間プロジェクト別業務時間明細 | 勤務年月日 | 入力年月日 |
[c]以外は本文からの抜き出しとなるので冷静に解答できなければいけない。(私は間違えてるが。。。)
[a]
最終退出時刻が未入力のときの就業区分を答える問題。
①勤務実績入力より解答する。
一度でも入室したら退出時刻が記録されてしまうため、出社しない出張または休暇の場合なので、就業区分は「空白」となる。
[b]
同じく①勤務実績入力より。
最終退出時刻が終了時刻より早い場合は、一度出社してから自社?以外で働いて直帰するパターン。
[c]
36協定関連の話。
9割以上で対象となると言っているので、微妙な数字はそのせい。【D社の就業条件】(4)までさかのぼって、「連続する3か月累計120時間」の部分から解答を作成する。
ここまではたどりつけても正答のように答えられる人は相当冷静な気がする。
[d][e][f]
プロジェクト別業務時間の入力の話。
制約としては本文中「⑥プロジェクト別業務時間の入力が、翌営業日中に行われているかどうかを確認する。」の部分。
全然深く考えられてというか広い目線がもてていなかった。
本文中に目ぼしい表現はなく、正答を導くためにはダウンロードファイル(表1)に目を向けれなければならない。
プロジェクト別業務時間の入力を、よりシステム的に捉えると月間プロジェクト別業務時間明細(の元データ)に登録を行うことになる。入力日が年月日より2営業日以上未来になっている=翌営業日に入力できていないということになるので、解答にようになる。
本文中をかなり右往左往するのでどこに何が書いてあるか、何を主軸に答えるべきなのか、がしっかりと把握できていないと、時間的な制約もあって難易度は上がると思う。
設問3
【内部監査担当者によるレビュー】について(1)、(2)に答えよ。
(1)
プロジェクト別工数一覧で考慮すべき点は何か。その内容と理由を、それぞれ30字以内で述べよ。
内容 | |
---|---|
私の解答 | プロジェクトの実工数が正しく把握できていない点 |
IPAの正答 | 部内だけでなく他部のデータと合わせた一覧を作成すること |
理由 | |
私の解答 | プロジェクト別勤務時間と勤務実績入力が連動していないから |
IPAの正答 | プロジェクトは複数の部が関わっているものが多いから |
問題の意図は理解しきれずに解答せざる負えなかったパターン。これが頻出するようでは合格率はぐっと落ちるだろう。解答を見るまで、部内とか他部の認識がほとんどなかった。
本文中のポイントとなるのは設問の該当箇所である「~プロジェクト単位に工数の実績を管理するためには、考えているプロジェクト別工数一覧では不十分であり、更なる考慮が必要となる。」の部分。
また、【現在の勤務管理の概要】(3)の後半、「プロジェクトは複数の部が関わっているものが多い」と【ダウンロードデータを使用した処理】の前半の「部長が自分の部のデータをダウンロードできるようにした」より解答は作成できるが、視点が飛ぶため簡単ではないと感じる。
まずは実態の整理、ファイルは部長が自分の部、つまり単一の部のデータをダウンロードする機能。対してプロジェクトは別の部をまたがる可能性を考慮しなければならない。
また表1のデータ構造を見るに、部を特定できると思われる「部コード」は個人属性ファイルのみがもち、月間プロジェクト別業務時間明細ファイルの部を特定するには社員番号を外部キーとして個人属性ファイルから「部コード」をもってくるしかない。つまり、「月間プロジェクト別業務時間」は部長が管理する部に所属する社員がそのプロジェクトで稼働した時間の合計のみしか取得できないことが分かる。
ここまでわかっても、解答のようにまとめるのはなかなか難しい。まず、個人的には[内容]にあたる設問の考慮というのが問題(考慮すべき点)なのか、不十分に対する対策(考慮した結果)を答えればいいのかが分かりにくい。
解答がプロジェクト単位に実績工数を出力する方法であることから逆引きしてやっと把握できた。
もしも演習中にここまで迷えるくらいに全体を把握できていれば、[理由]についてはほぼ本文の抜き出しで一意に解答できるため自然と正答通りに答えられただろう。
演習中の私は、「部長が部内の~」という部分は当たり前と言えば当たり前で多分重要視せずに読み進めたのだろう。とはいえ設問を読みながら問題文を読み進めた箇所で読み込みがあまかった、全体的な解き方を少し改善する必要があるかもしれない。
(2)
夏季休暇の取得率向上に関するチェックが不十分と判断したのはなぜか。その理由を35字以内で述べよ。また、それを解決するために警告一覧に出力すべき社員の条件は何か。表1中のファイル名を用いて40字以内で述べよ。
理由 | |
---|---|
私の解答 | 予定通り休まない社員はチェックをすり抜けてしまうため |
IPAの正答 | 休暇取得予定日に休まなかった社員を把握することができないから |
条件 | |
私の解答 | 夏期休暇明細の予定実績区分が"予定"のまま休暇年月日を過ぎた社員 |
IPAの正答 | 夏期休暇明細で予定データの取得予定日を過ぎても実績データが存在しない社員 |
まずは事実確認。ここでいう「予定データ」は取得予定年月日から作成した夏期休暇明細のデータ。「実績データ」は勤務実績から作成したデータであり、それぞれ別レコードとなる。夏期休暇の予定を立てたら予定データを作成。実際に休暇を取得したら実績データを作成するという流れになるのだろう。
演習中は勘違いしていた。
夏期休暇はそもそも予定通りに休まないという指摘があったが、今回のチェックでは予定データが3件存在すればそれでOKとしているため、その点に対する考慮が足りていない。
そしてそれを抽出するための条件は、予定データと実績データは別レコードとして生成されることから、正答のようなことが導ける。
総評
あくまでも個人的なものである。
難易度 | やや難 |
---|---|
専門性 | 普通(業務的観点) |
時間制約 | 厳しい |
合格判定 | 確実に不合格 |
集中力 | 普通 |
問題によっては結構高得点をとれるときもあるが、安定して合格を狙うなら今回の結果を軽視しない方がいいかもしれない。少し解き方に気を付ける。