SEワンタンの独学備忘録

IT関連の独学した内容や資格試験に対する取り組みの備忘録

【システムアーキテクト試験】 平成24年 午後Ⅰ問1 過去問演習

最近諸事情につき、他の記事を書く時間がとれていない。。。

平成24年 午後Ⅰ 問1
会計システムの再構築に関する次の記述を読んで、設問1~4に答えよ。

章の構成と全体の印象

会計システムの再構築に関するお話。

【現在のシステム化の状況とその関連する業務】
どの程度読み込むかが難しい。最重要ではないが結果的に設問にもかかわってくる。

【会計システム再構築の背景】
この辺りからは設問に直結してくる。

【会計システム再構築の方針】

【新会計システムの概要】

【内部統制面からの検討】


設問はやや多め。設問に対する問題文の該当箇所がややわかりにくいタイプの設問。
結果として、難易度は高いと感じた。会計システムは苦手で本番試験では真っ先に選択肢から外す候補にすると思う。

設問1

新会計システムの構築によって、出荷部門と経理部門との間の業務変更、及び新会計システムと販売管理システムとの間のシステム連携が必要となる。その変更について、(1)、(2)に答えよ。

(1)

売上計上基準の変更に伴い、出荷部門において人手で行っていた業務で不要となる業務がある。その不要となる業務を25字以内で答えよ。

私の解答 受領実績登録後に受領書を経理部門に回付する業務
IPAの正答 受領実績登録後、受領書を経理部門に回付する業務

新システムの構成と旧システム使用時の業務内容を把握する必要がある。

新システムの構成は【会計システム再構築の背景】から確認する。
具体的には「①A社の売上計上基準を納品基準から出荷基準へ変更する。」の部分。ここから納品から出荷に売上計上のタイミングが変更されていることが分かる。
手作業で行ってした業務は何かと言うと、【現在のシステム化の状況とその関連する業務】の(2)から持ってくる。元々計上は納品後受領実績登録が行われる受領書が発行されることによって行われていた。不要となる業務はここの部分、本文中の言葉をできる限り使用してまとめると解答のようになる。

(2)

経理部門での仕分伝票の起票及び入力の負荷を軽減するために、販売管理システムから新会計システムに渡すべき情報を10字以内で答えよ。また、その情報によって新会計システムに渡すべき処理を20字以内で述べよ。

情報
私の解答 受領実績情報
IPAの正答 出荷実績情報
処理
私の解答 受領実績情報を売上及び売掛金への計上処理
IPAの正答 売上及び売掛金計上の自動仕分処理

まず着目すべきは、設問中の経理部門のという部分、ここから経理部門が手動あるいはそれに近い形で行っていた業務を新システムではシステム化することにより負荷(工数)の削減が行えるという推測が立てられる。

次に販売管理システムから新会計システムに渡すべき情報だが、ここは冷静に読めているなら私の解答はありえない。新システムでは計上を行うために必要な情報は受領実績情報ではないからである。それは旧システムで話である。では何が必要かというと(1)の流れを受けてもわかるが「出荷実績情報」がそれに該当する。
実践的に解答する際もこのロジックで導出すればよいだろう。


行うべき処理は設問からも明らか、「仕分処理」である。この業務をシステム化したい。
システムで行うことが明確に分かれば「自動」という言葉は無理に入っていなくても問題ないと思える。

このように設問で答えるべきは旧なのか新なのか、新旧で異なっている処理はどの部分なのかという情報は解答に直結するため、常に意識しておきたい。(自戒


設問2

資金管理サブシステムについて、(1)~(3)に答えよ。

(1)

入金予定の把握のために、販売管理システム及び売掛金管理サブシステムから入金予定として取り込むべき情報がある。その情報を二つ挙げ、それぞれ15字以内で述べよ。

私の解答 締め日ごとの請求情報
IPAの正答 受注時点での入金予定情報
私の解答 得意先の入金情報
IPAの正答 売掛金の入金予定情報

設問を確認してから1ステップで表1の「資金管理関連」に目を向けられたかで解答の速度と精度が大きく変わると思われる。私はできなかった。
また、【会計システム再構築の背景】の(3)の最後、「将来の資金収支予定を正確に把握することが」からこの周辺(表1)を解答の軸にしていいことが分かる。

今回着目すべきは表1の中の入金部分。
売掛金だけではなく、受注時点での入金予定情報も把握したい。」の一文から売掛金の入金予定と受注時点の入金予定が必要になることは分かる。

確実に正答しておきたい問題であるが、参照すべき部分が若干わかりにくく感じる。【現在のシステム化の状況とその関連する業務】まで戻ってしまうと情報が多く誤答のリスクが高まると思う。

(2)

入金予定の把握のために、人事給与システムから出金予定情報を新会計システムに取り込む必要がある。その情報は何か。25字以内で述べよ。

私の解答 給与、賞与、法定福利費などの人件費の見込情報
IPAの正答 給与、賞与、法定福利費などの人件費の見込情報

参照すべき本文の箇所が分かりやすい場合、難易度は下がると感じる。しかし今回は表1を見ても解答ができないのはなんともいやらしい。
人事給与システムに関する記述のうち、将来の情報に関わる情報という視点で確認すると見込情報が目に止まる。「人件費の見込情報」でもほぼ適格に答えられていると思うが、指定されている文字数に応じて本文の言葉を取り込んだのが本解答。

(3)

資金収支の管理を行う上で、現行の会計システムで稼働しているが新会計システムでは不要となる機能がある。不要となる機能を15字以内で述べよ。

私の解答 支払手形処理
IPAの正答 支払手形管理の機能

全体を通してみると本文をいったりきたりしている。このような場合、制限時間のなかで解くと体感難易度は上がるだろう。
新システムでは支払いはすべて銀行振込となっているため、旧システムの手形での支払い処理は不要となる。

設問で問われているのは「機能」であるのに「処理」で答えていることから演習中の焦りが伺える。SA試験の受験者なら分かると思うが勿論この二つは別物で区別して解答をすべきである。

「支払手形」の「機能」であることが分かれば多少の表記揺れは許されるだろう。機能の命名で困ったときは「管理」を付与するのは情報処理試験でも有効なようである。

設問3

連結会計サブシステムにおいて、連結子会社の決算情報を合算するときに、経理部門からの課題・要望からみて、システムに実装機能がある。それはなにか。30字以内で述べよ。

私の解答 連結会計サブシステムのデータ形式に合わせたデータ整形処理
IPAの正答 連結子会社の勘定科目を連結可能な勘定科目に変換する機能

設問中の「経理部門からの課題・要望からみて」は解答にあたっての大きなヒントとなる。この一文があるだけで本文中を確認する範囲が絞られ難易度が下がる。確実に確認すべきである。

具体的には「表1の連結決算関連」の部分。ここから現状は連結子会社は独自の会計システムを導入しているため、連結会計サブシステムへの連携で予期せぬ不具合が発生する可能性が示唆される。

あとはどう解答にまとめるか。私の場合、「機能」が「処理」になっている部分は論外であるが、他の部分としては「素人感」は強いが方向性はずれていないと思われる。ただ、私では本文中にない「勘定科目」という言葉を使って解答することはどんなに頭が冴えていてもできないだろう。

完答は捨てて、無難な解答を行い途中点を狙う設問だと思っている。


さて、「勘定科目」という言葉、私は担当をしたことがないがSAP関連のシステム資料で目にしたことはある程度だった。会計システムを担当したことがある人ならばここで適切な言葉として使うことができるのだろうか。

設問4

”ITに係る業務処理統制”について、内部統制実施基準に挙げられている、”入力情報の完全性を確保する”観点から、新会計システムと仕入管理システムとの関係において確認すべきことは何か。40字以内で述べよ。

私の解答 販売管理システムと新会計システム間で受領実績情報に差異がないこと
IPAの正答 検収、棚卸しなどの取引情報が漏れ、重複なく入力され、新会計システムに連携されること

私の解答はひどい。同じような間違い方は今回一回でなく、このような集中力と洞察力で合格を狙うのはおこがましい。
一番ひどいのは取り上げているシステム、販売管理システムについては全く問われていない。
次に「受領実績情報」、これは旧システムで扱われていた情報であり、新システムそれも設問の後半まで引っ張るようなものではない。

解答ロジックとしては、まず、完全性についての問題文との認識を合わせる。これは内部統制に関する記述から容易に持ってこれる。後は新会計システムと仕入管理システムでやりとりしている情報。これは正答でも「など」という表現が使われていることから仕入管理システムに関する説明文から自信をもって解答できるものを適当に持ってくればよいだろう。

この観点があれば、十分に解答は出来上がる。本文中の言葉の組み合わせになることもあり、表現の揺れはある程度許されるだろう。

総評

難易度 やや難
専門性 高い(会計システム)
時間制約 普通
合格判定 不合格レベル
集中力 普通


会計システムについての知識の有無で体感難易度が大きく変わると思われる。
苦手ならきればよい。1分野であればきっても問題はないだろう。